糖尿病に伴う膀胱機能障害の特徴は、初期には過活動膀胱、末期には残尿を伴う低活動膀胱という相反現象の併存である。腎不全に移行する助長因子となっているにも関わらず、網膜症、腎症、神経障害と比較して認知されていない。糖尿病性膀胱機能障害の薬物療法は治療抵抗性であることが多く、その経時的な膀胱機能の変化は複雑で十分に解明されていない。 本研究は糖尿病に伴う膀胱機能の経時的な変化を、機能学的、組織学的に解明した初めての研究である。糖尿病の各病期における膀胱機能障害の状態を把握することで薬物療法の適正な使用、さらには非薬物療法の応用につながり、国内の1000万人を超える糖尿病患者の予後改善が期待される。
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