2023年度の実績は以下の通りであった。 ①感染状況に合わせて、研究協力施設スタッフの協力を得て、感染対策を行いながら追加データをを収集することができた。 ②収集したデータをまとめて、脳血管障害者の把握力調整能力に関連する要因について、リハビリテーション関連の学会で発表することができた。学会発表では、研究内容について聴講者から質問を受け、研究内容や結果の解釈についてディスカッションすることができた。また、類似内容の研究を実施している他の研究者とも話す機会があり、研究の実施方法や工夫点について情報交換をすることができた。 ③学会発表後、さらにデータ収集を実施し、脳血管障害者の把握力調整能力と上肢・手指機能との関連について分析した結果、非麻痺側の把握力調整能力(等尺性区間)とMAL(QOM)で有意な正の相関がみられた.また,非麻痺側の把握力調整能力(等尺性区間)は,非麻痺側の握力とARATで負の相関がみられた.そのため、非麻痺側の把握力調整能力は,日常生活における麻痺手の使用の質に影響するため,脳血管障害者の麻痺側だけではなく,非麻痺側の把握力調整能力に配慮した評価・介入の必要性が示唆された.現在、この結果を公表するために、国際誌に投稿しているところである。 ④第1研究で得られたデータを基に、研究グループで再検討し、把握力調整能力向上のための介入プログラムに一部修正を行った。脳血管障害者に、修正した介入プログラムを実施したところ、短期間で把握力調整能力に改善が認められ、本介入プログラムの効果に関する示唆を得ることができた。
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