本研究の目的は、加齢に伴い蓄積された筋細胞外異所性脂肪に対する“継続的な筋電気刺激トレーニング”の効果、血液成分に対する、一過性の筋電気刺激効果 (30分間) を検証した。本研究では、高齢者19名 (男性、n = 10;女性、n = 9) を対象に、大腿四頭筋に30分間の電気刺激を与えるトレーニングを12週間 (3回/週、合計36回) 実施した。筋電気刺激トレーニング開始前、開始6週後、12週後、さらに、トレーニング終了から12週後に外側広筋と大腿直筋の筋細胞外異所性脂肪量を測定した。筋細胞外異所性脂肪量は超音波によるエコー強度によって推定し、これを筋細胞外異所性脂肪指標とした。筋電気刺激トレーニング開始前と12週間後にトレーニングと同様の電気刺激テスト (30分間) を実施し、その前後で血液成分 (血糖、インスリン、中性脂肪、遊離脂肪酸、IL-6) を検査した。結果、筋細胞外異所性脂肪指標にはトレーニングの主効果は認められなかった。遊離脂肪酸と血糖には、筋電気刺激 (30分間) による一過性の有意な増加を認めたが、筋電気刺激トレーニング前後間で全ての血液成分において有意な差は認めなかった。以上のことから、筋電気刺激は遊離脂肪酸や血糖を一過性に変化させるが、12週間の筋電気刺激トレーニングは高齢者の筋細胞外異所性脂肪量や血液成分に影響しないことが示唆された。本実験は、2018年度~2020年度に実施、最終的に合計19名の実験結果が得られ、国内学会にて研究成果を公表した。
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