研究課題/領域番号 |
18K17765
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
渡辺 愛記 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (80508044)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳血管障害 / 行動障害 / ADL / 麻痺手 / 難易度 |
研究実績の概要 |
昨年度開発した麻痺側上肢で行う生活動作を観察にて詳細に評価できるActivities Specific Upper-extremity Hemiparesis Scale (ASUHS)を用いて,生活動作の難易度順を明らかにした.しかし,どの程度の機能レベルであれば各整容動作が遂行可能になるかは明らかになっていないため,食事動作および整容動作が麻痺側上肢にて遂行可能になる機能レベルと予測因子についてASUHSを用いて明らかした. 79例の利き手麻痺患者に対し,整容12項目における麻痺側上肢での遂行可否を従属変数とし,7つの独立変数を投入したロジスティック回帰分析の結果,12項目全てでFMA-UE総得点が有意な予測因子であることが示された.ROCでは,各項目が遂行可能になるFMA-UE総得点のcutoff値が,歯磨きでは「歯磨き粉の蓋を開ける」39点,「歯磨き粉の入れ物をつまんで歯磨き粉を歯ブラシに付ける」47点,「歯を磨く」58点,手洗いでは「手を洗う」50点,洗顔では「両手に水を溜める」49点,「タオルで顔を拭く」50点,「両手に溜めた水で顔を洗う」54点であった. 食事動作でもロジスティック回帰分析の結果,ASUHSの全ての項目でFMA-UEが有意な予測因子であることが示された.ROCでは,各項目が遂行可能になるFMA-UEのcutoff値は14点(ペットボトルを把持する)から50点(水入りのコップを口へ運ぶ)の範囲であった. 本結果は麻痺側上肢で行う生活動作及び訓練と目標を選定する際や生活動作において麻痺側上肢の使用を促す際の機能レベルの目安になる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年目が最終年度予定だったが,新型コロナ感染によるデータ収集に遅れが生じたため,最終年度に実施予定の内容を1年延長して実施するため.
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今後の研究の推進方策 |
今後はASUHSを多施設に普及し,実用化するためのシステム構築に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,当初の計画より若干遅れての研究実施となったため,諸経費の執行が発生しなかった. 残りの研究を2021年度実施し,計画通りの経費執行となる予定である.
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