研究課題/領域番号 |
18K17770
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
村田 憲章 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (40773891)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 緑内障 / 視野 / 読書 / 視覚的リハビリテーション / Quality of life |
研究実績の概要 |
緑内障は進行に伴って視野の欠損が緩徐に進行し,晩期には視野中心部に障害が生じて視力が低下し失明に至る疾患である。現状では緑内障により失った視野を取り戻す方法は存在せず,不可逆的な視機能障害により患者の生活の質は低下する。後天的な視覚障害では新たに点字等を習得することは非常に困難であり,残存した視機能に頼り読み書きを行う生活を余儀なくされる。本研究の目的は,眼鏡型視線解析装置 (アイトラッカー) を用いて緑内障患者の黙読を他覚的データとして評価し,緑内障患者の読書困難に対する新たなリハビリテーション手法を考案することである。 2018年度はTobii pro グラス 2を導入し,アイトラッカーによる正常者データの収集を開始した。日本語は漢字と平仮名,片仮名が混在し非常に複雑な文書体系をなす。また縦書きと横書き文があり,それぞれを黙読する時の眼球運動動態は異なると考えられる。本計画の1年目では刺激となる文書を黙読した時の“アイトラッカーで記録した正常データ”の確立を目指しデータ取得を推進した。データ取得は新潟医療福祉大学の学生および教職員に研究協力を依頼した。現在も正常データの収集は続行しており,同時に解析も進めている。現在のところ,正常者において異なるフォントを使用した場合でも,読書動態が変化することが確認された。 2019年度は緑内障患者のデータ取得を開始した。緑内障の進行度合いにより読書困難の程度も異なる。このことから,早期緑内障から末期緑内障症例の幅広い病期の患者を対象に,アイトラッカーによる黙読時の眼球運動を記録しそのデータを収集している。 2020年度も引き続きび緑内障患者のデータ取得の充実を図る。2020年度秋ごろより,ロービジョン者のデータ取得を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の正常者データの取得および解析は順調通り進行しており,フォントの異なりによっても読書動態が変化することが判明した。この結果は,2019年のARVO: The Association for Research in Vision and Ophthalmology annual meetingにて発表した。緑内障患者のデータ取得はサンプル数が未だ不足しており,今後もデータの充実および解析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き緑内障患者のデータベースの構築を進める。また2020年度に予定しているロービジョン者のデータ取得を開始し分析する。正常者と緑内障患者の黙読の他覚的データの差異を検討するとともに,視覚障害者のアイトラッカーによる黙読評価の有用性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた,Tobii pro グラス 2専用解析ソフトの購入費が少なく済んだため。次年度のTobii グラス専用度付きレンズセットの購入費用として使用する。
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