研究課題
緑内障は進行に伴って視野の欠損が緩徐に進行し,晩期には視野中心部に障害が生じて視力が低下し失明に至る疾患である。現状では緑内障により失った視野を取り戻す方法は存在せず,不可逆的な視機能障害により患者の生活の質は低下する。後天的な視覚障害では新たに点字等を習得することは非常に困難であり,残存した視機能に頼り読み書きを行う生活を余儀なくされる。本研究の目的は,眼鏡型視線解析装置 (アイトラッカー) を用いて緑内障患者の黙読を他覚的データとして評価し,緑内障患者の読書困難に対する新たなリハビリテーション手法を考案することである。初年度はTobii pro グラス 2を導入し,アイトラッカーによる正常者データの収集を開始した。日本語は漢字と平仮名,片仮名が混在し非常に複雑な文書体系をなす。また縦書きと横書き文があり,それぞれを黙読する時の眼球運動動態は異なると考えられる。本計画の1年目では刺激となる文書を黙読した時の“アイトラッカーで記録した正常データ”の確立を目指しデータ取得を推進した。データ取得は新潟医療福祉大学の学生および教職員に研究協力を依頼した。現在も正常データの収集は続行しており,同時に解析も進めている。現在のところ,正常者において異なるフォントを使用した場合でも,読書動態が変化することが確認された。2019年度よりは緑内障患者のデータ取得を開始した。緑内障の進行度合いにより読書困難の程度も異なる。このことから,早期緑内障から末期緑内障症例の幅広い病期の患者を対象に,アイトラッカーによる黙読時の眼球運動を記録しそのデータを収集している。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Niigata Journal of Health and Welfare
巻: 20 ページ: 73-84
10.34540/niigatajohewe.20.2_73
BMJ Open Ophthalmology
巻: 5 ページ: e000595
10.1136/bmjophth-2020-000595