本研究では、1型糖尿病に起因する筋や運動ニューロンの障害に対する運動療法の効果を明らかにするために、トレッドミルを用いた低強度運動を実施し、後肢遠位の速筋と遅筋に対する電気生理学的な解析、運動ニューロンの形態学的な解析を行った。その結果、低負荷運動によって、糖尿病の遅筋で観察されたHalf-relaxation timeを指標とした弛緩時間の延長が有意に改善した。また、遅筋を支配する運動ニューロンの減少も低負荷運動によって一部改善された。これは、低負荷の有酸素運動が糖尿病に起因する遅筋で生じる筋の収縮特性の変化や運動ニューロンの形態学的な変化を抑制する可能性を示唆するものである。
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