研究課題/領域番号 |
18K17774
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
中村 泰久 日本福祉大学, 健康科学部, 助教 (30610018)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 社会適応能力 |
研究実績の概要 |
統合失調症の症状のうち認知機能障害は、社会適応と強く相関しており重要な要因である。特に認知機能で社会適応と関連要因として発散的思考が指摘されている。我々は平成30年度にLezakが遂行機能検査として開発したThe Tinkertoy Test(TTT)の採点項目を改訂した修正版TTTを開発した.さらに横断研究を行い,修正版TTTの生態学的妥当性のデータを取得した.令和元年度は修正版の信頼性・妥当性の検証を終え,修正版TTTは認知リハビリテーションの介入研究での効果判定として使用可能なのかを明らかにすることを目的に検証している.認知リハビリテーションは週に2回、1時間のパソコンを使用したコンピュータセッションと30分の言語セッションで構成した。コンピュータセッションでは、患者は選定した複数のリハビリテーション用ソフトに取り組み、言語セッションでは、作成したマニュアルを用いて、リハビリテーション課題と日常生活行動を結びつけ、動機づけを高めるグループワークを実施した。また,修正版TTTが脳機能のどの点の賦活反応を促進するかを明らかにするため,健常者を対象に検証した.
(1)令和元年度は1施設の協力を得て,21名の介入前後比較のデータを取得し解析を終えた. (2)令和元年度は健常者を対象に修正版TTTを用いた課題時の脳賦活反応をfunctional Near-Infrared Spectroscopyのデータ取得を終えた.
令和2年度は,これまで取得した修正版TTTの横断研究,介入研究,脳賦活研究のデータ解析と論文作成をすすめ投稿することを目標にしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で介入研究のデータ取得が困難となっている.そのため,現在取得出来ているデータ内で解析して論文作成を優先して行う.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に解析を終えた横断的研究での修正版TTTと社会機能の関連は有意な相関を認めた.これは修正版TTTが統合失調症の社会機能を予測する検査である可能性を示している.次に令和元年度の認知リハビリテーション介入前後比較のデータの介入前後のスコア変化の解析を進めている.また、令和元年度の健常者を対象にした修正版TTTの自由構成課題時の前頭葉賦活反応に関する解析を進めている.患者リクルートに時間を要しており、目標人数まで達していない。臨床研究の募集が難しい状況であるため,論文作成を優先する.さらに対象者を健常者での修正版TTTデータを取得して検証をすすめていく.
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