研究課題/領域番号 |
18K17778
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
丸本 浩平 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80594738)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 手続き記憶 / 運動学習 / パーキンソン病 / リハビリテーション / ニューロモデュレーション / 拡散テンソル画像 / 強化集学的ケア / 集学的リハビリテーション |
研究実績の概要 |
リハビリテーション(以下、リハビリ)の目的の一つは患者に最適な動作を学習させることであり、日常生活活動(ADL)のほとんどが潜在的学習や手続き記憶の結果として自動化、保持される。しかしながら手続き記憶能力や脳神経回路の状態とリハビリ効果について検討された研究はない。そこで我々は中脳ー基底核ー大脳皮質回路を中心とした変性疾患であり手続き記憶の障害が生じるとされるパーキンソン病(以下、PD)患者を対象として研究した。順序ボタン押し課題、Serial reaction time task(SRTT)などの手続き記憶検査を含むさまざまな神経心理検査、及び解剖学的な脳神経回路の評価(拡散テンソル法MRI)パラメーターであるFractional anisotropy(FA)値、また線条体ドーパミン・トランスポーターシンチ検査(DaTscan)のパラメーターであるSpecific binding ratio(SBR)とリハビリ効果との関連について検討を行う予定である。脳画像検査によりPD患者の障害脳神経回路、代償脳神経回路などが判明すれば、さらにリハビリ効果を増強できる可能性のある脳神経回路を特定して非侵襲的ニューロモデュレーション(反復経頭蓋磁気刺激法: repetitive Transcranial Magnetic Stimulation: rTMS)を行い上乗せ効果が期待できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パーキンソン病のリハビリテーション(以下、リハビリ)の効果予測をするにあたり、パーキンソン病の一般的なリハビリ介入の標準化を行う必要があった。パーキンソン病のリハビリの中でも現在主流となっている多職種が介入する集学的リハビリを本研究のリハビリ介入として標準化した。その介入内容を示す論文をまず発表した。現在は順序ボタン押し課題、Serial reaction time task(SRTT)、拡散テンソル画像を介入前に実施して、そのリハビリ効果との関連を検討しているところである。 順序ボタン押し課題に関しては、健常者で評価を行い、学習良好群と学習不良群のcut offを検討している。健常者は14例、パーキンソン病患者は20例でフォローが終わり解析中である。SRTTに関しては、健常者で評価を行い145例が集まり、現在解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病の一般的なリハビリテーション(以下、リハビリ)介入の標準化ができたので、今回の研究テーマである手続き記憶能力や脳神経回路の状態(拡散テンソル画像)とリハビリ効果について検討を行う予定である。順序ボタン押し課題は健常者14例でcut offを設定して、パーキンソン病患者20例を学習良好群と学習不良群とに分けて2群のリハビリ効果の比較解析が進行している。Serial reaction time task(SRTT)に関しては健常者の評価が終われば、パーキンソン病についても評価を実施して、リハビリ効果との関連も検討する予定である。上記の検討でわかった知見を2020年度中に論文としてまとめて投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた評価機器(物品)の発売が延期したために、2019年度に使用する額が減り翌年度に持ち越しされた。2020年度に評価機器の購入(物品)、その他(国際誌への論文投稿の校正費用等)として使用予定である。
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