研究実績の概要 |
研究実施計画に基づき加熱式たばこ煙水溶液、または燃焼たばこ煙水溶液投与ラットにおける酸素療法の効果を検討した。各たばこの主流煙を溶解した水溶液の投与方法を、気管内投与から鼻腔内投与へと変更したが、燃焼たばこにおいては過去の申請者の結果と同様にマクロファージの浸潤と血中コチニン濃度が加熱たばこ、対照の生理食塩水投与ラットよりも有意に増加していることが確認された。2週間のたばこ投与後2週間は投与直後に1時間の高圧酸素療法を行った。特に燃焼たばこにおいては増加していた血中コチニン濃度(24.5ng/mL)が2週間の酸素療法後に検出限界以下(1ng/mL以下)へ減少したことから、高圧酸素療法は血中コチニン濃度の排出時間短縮に有効であることが示唆された。加熱たばこにおいては投与2週間後も、高圧酸素療法後もともに検出限界以下であったため、今回の投与後24時間(血中ニコチン濃度は喫煙後数時間、血中コチニンの半減期17時間)での採血よりも早い時間帯での血液採取を今後は検討する。今回は成長期ラット(8week)で投与開始し、実験期間は4週間であり各群間の最終体重に有意差は認められなかった(体重平均:燃焼たばこ397g,加熱たばこ417g, 対照408g)が燃焼たばこ群では成長期における体重増加が少ない傾向であった。ヒラメ筋張力と重量において各群で有意差は認められなかったが、横断面積で加熱たばこ群が対照群よりも減少した(P<0.05)。生体内の酸化ストレスを示す指標の一つである血中8-OHdGは、加熱たばこ投与群が最も多い傾向であったが、酸素療法後では減少していた。
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