昨年度に実施した動物実験のデータ解析を行った。加熱たばこ、または燃焼たばこの主流煙を溶解した生理食塩水を4週間、ラットに気管内投与を行った。対照群には生理食塩水を投与した。4週間後に麻酔下で脱血後安楽死処置の後、解剖を行った群(燃焼群、加熱群、生食群)と、4週間後に高圧酸素下での酸素療法を2週間行い投与も継続した群(燃焼+酸素群、加熱+酸素群、生食+酸素群)とを比較した。血中コチニン濃度、肺のマクロファージ等は前年の報告通りである。ヒラメ筋組織重量と張力において、各群有意差は認められなかったが、筋横断面積においては加熱群が生食群よりも有意に減少していた。これを体重比で再度、検討したところヒラメ筋横断面積において、生食群に比べて燃焼群と加熱群は有意に小さく、燃焼群に比べて加熱群は有意に小さい結果となった。しかし高圧酸素療法を行った3群(燃焼+酸素群、加熱+酸素群、生食+酸素群)間における筋横断面積に有意差は生じなかったことから、燃焼たばこ、加熱たばこによって引き起こされたヒラメ筋の萎縮は、2週間の高圧酸素療法によって改善されたと推察される。ただし、4週間の加熱たばこ曝露による筋萎縮については、その再現性を確認する必要がある。また、4週間で引き起こされた萎縮が再生するメカニズムについて勤サテライト細胞の活性化等に着目し、今後の実験で高圧酸素下での有酸素運動を併用することによる違いなどをさらに検討することとする。
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