2021年度に実施した動物実験の血液サンプル、気管肺胞洗浄液サンプルを用いて、コチニン濃度、炎症性たんぱく濃度等の測定を実施した。燃焼タバコ群、燃焼タバコ+高圧酸素群、燃焼タバコ+高圧酸素+運動群、加熱式タバコ群、加熱式タバコ+高圧酸素群、加熱式タバコ+高圧酸素+運動群において、経時的な血中コチニン濃度を一部測定した。加熱式タバコと燃焼タバコの煙水溶液におけるニコチン濃度は、異なっているためタバコの種類による比較は不可能であるが、タバコ煙水溶液投与前は全群、検出限界以下であり、前日の投与によるコチニンの残存は認められなかった。燃焼タバコにおいて投与後20分は検出限界以下、投与後60分では、介入なし、高圧酸素、高圧酸素+運動の間で、平均血中コチニン濃度は11~13ng/mLで、介入による差は認められなかった。TNFーα、IL-6においてはたばこ煙溶液投与後6週間における血中濃度は検出限界以下であった。同様のBALFにおいては、燃焼たばこ群においては、介入の種類、有無に相関は認められなかった。また加熱式たばこ群において、高圧酸素+運動群のTNF-α濃度が他の介入よりも高い傾向であったが、有意差は認められなかった。燃焼タバコ投与における活性酸素の増加が報告されており、本実験においても血中8-OHgdを測定したが、検出限界以下であった。これは血液採取のタイミングが解剖時(たばこ煙投与後24時間経過)であったこと、推奨希釈濃度20倍について本実験では考慮すべき点であったと推察される。
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