研究課題
若手研究
本研究の目的は、関東大震災(1923年)からの復興に向けた日本のスポーツ界の対応を明らかにすることであった。文献資料(文書、雑誌、新聞等)の収集・分析を通して、震災直後に大日本体育協会(現在の日本スポーツ協会・日本オリンピック委員会)が帝都復興院・東京市当局に対して提出した「願書」の内容や、各大学の運動部学生による復興支援活動・チャリティマッチの記録、さらには上野公園における被災者(主に避難民)を対象とした「慰安運動会」の内容と文化的特徴が明らかとなった。
体育史・スポーツ人類学
本研究の学術的意義は、従来の日本体育史研究やスポーツ人類学研究に対し、震災復興と体育・スポーツの関連性という視点で新たな知見を提供したことにある。社会的意義については、特に東日本大震災(2011年)後に社会課題とされてきた「スポーツを通した震災復興」という論点に対し、約一世紀前の関東大震災(1923年)後の被災地(東京市を中心に)における歴史的事実をもって議論の材料を提示した点にあると考えられる。