一般的な動物を用いた先行研究では、運動強度が運動時のストレス反応の決定因子となることが示されており、中強度を境に、中強度未満の軽い運動ではストレス反応の亢進が起こらず、中強度以上の高強度運動によってストレス反応の亢進が起こることが報告されている。一方、本研究は、ストレス感受性の高い個体では、強制(受動)的な運動は強度に関係なくストレスとなるが、自発(能動)的な運動は非ストレスであることを示している。この結果は、運動をストレスとして受容するか否かが個体の特性によって左右され、ストレス高感受性の個体にストレスなく運動を処方する場合には能動的な運動実施の働きかけが重要となることを示唆する知見である。
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