本研究は,呼吸に伴う浮力の増減や衣服の組み合わせが,ヒトの浮力と重力の大小関係,浮心と重心の位置関係に及ぼす影響を検証し,着衣泳指導提言への示唆を得ることを目的とした.その結果,夏の軽装を想定したTシャツとハーフパンツの着用では,肺換気量と浮力は,着衣時が水着時より減少した.また,これに合わせて靴を着用した場合,肺換気量は,着衣時が水着時より減少したが,浮力に違いはなかった.浮心重心間距離は,着衣時が水着時より短縮した.顔を挙げてクロールを泳いだ場合,着衣時は水着時より泳速とストローク長は減少したが,ストローク頻度は変わらなかった.RPEは着衣時が水着時より増加したが,心拍数に違いはなかった.
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