研究課題
投てき物や打具を適切な力加減で操作しようとする競技種目には、「無意識的な筋活動の乱れ」によって、今までできていた比較的簡単なプレーができなくなる イップス(Yips)と呼ばれる運動障害が存在する。ボール投げ動作におけるイップス(投球イップス)は、目標とはかけ離れた方向へ投球してしまうもので、動作に 習熟したはずのプロ選手でも発症し、完治できずに競技生活を断念する例も度々報道されるが、どのような「筋活動の乱れ」が起こっているかは本人にも分から ない。そこで本研究の目的は「ボールリリースの繊細なタイミング制御とその乱れに関与する手指筋群の筋活動動態を明らかにすること」とした。 これまでの分析の結果、投球コントロールのばらつき具合には投球イップス有訴者間でも個人差があることが分かった。またリリースに向けてボールを加速させる軌道が大きくばらつく者、軌道そのものはおおむね一定だがリリースのタイミングがばらついてしまう者など、投球動作にも相違があった。大きくコントロールを失った投球をした際に、拇指を司る筋に特異的な筋活動の現れる被験者もおり、それぞれの投球イップスの原因動作、原因筋を見極められる可能性が高まった。これらについて、日本バイオメカニクス学会大会、日本野球科学研究会にて、それぞれ発表を行った。 本研究によって、正確なボールコントロール技術の獲得に向けたトレーニング法策定、経頭蓋直流電気・磁気刺激療法を含めた投球イップスの改善法策定など、 競技パフォーマンスの向上に繋がる重要な知見を得られるものと考えている。
3: やや遅れている
新型コロナウィルス感染症の影響を受け、測定予定の延期、オンライン授業準備など他の業務時間の増加が生じたため。
22年度中に論文投稿を行う。
新型コロナウィルス感染症の影響を受け、測定予定の延期などが生じたため。22年度の論文投稿費用として使用する。
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