運動課題のパフォーマンスレベルは脳領域間の機能的・解剖学的結合強度に依存するという仮説を検証するために運動課題および運動イメージ課題中の脳活動と脳構造 (灰白質の容量および白質微細構造) を磁気共鳴画像法で計測し、領域間機能的結合、脳構造の関係性を明らかにするための実験を行った。当初の予定にはなかったが、経頭蓋磁気刺激法によって誘発された運動誘発電位も計測し、多角的に解析を行うこととした。被験者は右利き一般健常成人とし、TMS実験とMRI実験を別日に行った。運動課題である指タッピングの実行および運動イメージは視覚および聴覚キューによって開始・終了した。TMS実験と機能的MRI実験では課題中の筋活動を第一背側骨間筋および小指外転筋から記録した。運動実行および運動イメージの各条件で20試行行った。撮像はTRは1秒とした。運動実行および運動イメージは1条件5秒、条件間間隔は3秒から10秒とした。約7分間の撮像を8回行った。現時点までの解析の結果、運動イメージによって運動誘発電位の振幅が増大することを確認しており、これは先行研究の結果と一致している。また、運動実行中には対側一次運動野を含む運動関連領野が賦活していた。運動イメージ中には運動関連領野の賦活が観られたが対側一次運動野の賦活は運動実行より小さかった。また、視覚・聴覚キューによる課題開始・終了に関連する視覚野、聴覚野の賦活も確認された。運動これらのことから、計測・解析妥当であることを確認している。本研究課題は研究計画最終年度前年度の応募をし、新規課題が採択されたため、新規採択された研究課題を研究資金源として今後も引き続きデータを集積する予定である。データ集積後には一年目に習得した解析を行う予定である。
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