研究課題/領域番号 |
18K17816
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
岩山 海渡 天理大学, 体育学部, 講師 (30781249)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グリコーゲン / 高脂肪食 / 脂質代謝 |
研究実績の概要 |
運動前の高脂肪食摂取によって運動中のグリコーゲン利用を抑制することが明らかになれば、持久性運動種目における終盤のエネルギー枯渇問題を解消し、高いパフォーマンス発揮を維持することが期待できる。また、脂肪酸の違い(飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸)によって運動中の脂質代謝に違いがあるならば、運動前の最適な食事としてより具体的な知見につながることが期待できると考え実施した。 前年度まで研究によって、運動前の食事に高脂肪食を摂ると高糖質食よりもグリコーゲン利用量を抑えられること、一方で脂肪酸の違い(高飽和脂肪酸食と高不飽和脂肪酸食)には有意な差が認められないことを示唆する結果が得られている。現場での実践を想定すると、ある特定の脂質(脂肪酸)を選択して摂取する必要はなく、各々が食べやすい、または手に入れやすい脂質を運動前の食事に取り入れることで持久性運動パフォーマンスの発揮を後押しできると考えられる。 2020年度は安定同位体で標識した脂肪酸を用いることで運動時のエネルギー源が外因性か内因性か明らかにするための研究を予定していた。この研究により運動前に摂取した食事(脂質)がエネルギーに寄与しているのか、貯蔵脂肪の分解によってエネルギーを産生しているのか検討し、学術的な知見を深めることが可能と考えている。しかし当該年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により研究を実施することができておらず、研究計画は当初より遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度は遅れていた安定同位体を用いることで運動時のエネルギー源が外因性か内因性かを明らかにするための研究を予定していた。しかし新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究を行う施設(国立スポーツ科学センター:東京都)では外部研究者の受け入れを制限している状況であった。加えて研究代表者の所属機関では2020年度のほとんどの期間において「感染が拡大している地域への出張」が原則禁止の状況であり、学外での研究実施が困難な状況であった。さらに本研究課題は飛沫が飛散するリスクの高い内容を含んでおり、被験者の感染を防ぐ対策を立てながら実施することが難しい。以上のことから当該年度は一切の研究を進めることができず、進捗状況は予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の状況を注視しながら、研究実施場所の受け入れ態勢、研究代表者の所属機関における活動基準の情報収集をすると同時に、被験者の感染リスク防止対策の徹底について検討を進める。 研究を実施する以前に、安定同位体摂取後の運動において分析機が検出できる程度の反応が得られるか否かを検討するための予備実験が必要であり、まずはこの予備実験を実施するために関係各所との折衝を進める。先行研究から体重1kgあたり0.5~1.0g程度で十分に検出できると見込んでいるため、予備実験ではその確認をおこなう。 予備実験の後、すぐに本実験を開始できるよう並行して準備を進める。具体的には試薬の準備と被験者の募集となる。試薬は海外から取り寄せるため発注から2か月半を要することから、早めの手配が理想である。被験者募集についも、参加可能な日程を確保してもらう必要があるため早期に実施時期を確定することが望まれる。しかし感染症対策を十分に講じている旨を提示できなければ被験者の募集をすることができず、また不安の大きい世の中の状況から被験者に応募してくれる人が確保できるか不透明な状況と言える。2021年度内に研究を終了するためには遅くとも予備実験を10月までに終了させる必要があると考えているが、現時点では倫理的な観点を含めヒトを対象とした研究を再開する時期の判断をしかねている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実施予定であった研究は、新型コロナウイルス感染症の拡大による、研究実施施設における受入制限、研究代表者の所属機関における出張制限、飛沫感染のリスクが高い研究デザインによる実験被験者確保が困難な点、これらの理由から支出を伴う活動には一切取り掛かることができず、1年間の再延長申請に至った。以上のことから次年度使用額が生じた。 次年度は上半期に予備実験をおこなう。予備実験用の試薬はすでに購入してあるため、研究実施施設までの交通費が主な支出になる見込みである。本実験は下半期におこなう計画であり、物品費・謝金として2021年度予算の大部分を支出する見込みである。本実験にて使用する試薬は発注から納品まで2か月半を要するため、本実験開始の日程を考慮したうえで発注時期を考える。
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