研究課題/領域番号 |
18K17822
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大見 武弘 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (50749190)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 内側脛骨過労性骨膜炎 / バイオメカニクス / ジョギング |
研究実績の概要 |
長距離ランナーでは、反復した動作が原因となるランニング障害が多く、下肢のランニング障害は長距離ランナーの85%に生じる。内側脛骨過労性骨膜炎(medial tibial stress syndrome; MTSS)は下腿部に生じる代表的なランニング障害の一つであり、ランニング障害の15-35%を占めると報告されている。MTSSを発症した長距離ランナーは2-6週の練習休止期間を要し、競技に復帰しても再発を繰り返すランナーは少なくない。つまり長距離ランナーにとっては、MTSSの初発と再発予防が重要である。本研究の目的は予防方法を開発するための科学的根拠を得るために,前向き研究によりランニング傷害の原因となる身体構造・機能的因子と運動力学的な因子を明からにすることである。2019年度はMTSSの既往があることが、MTSSのリスクファクターの一つとなる根拠を得ることを目的とした。 大学以上のレベルで陸上競技に参加している長距離ランナーを対象に、三次元動作解析装置とフィースプレートを用いて、ランニング(ジョギング)を計測した。下腿部のMRIを撮影した。 参加者13名のうち、5名の対象がMTSSの既往があると回答し(n=5, 10脚; INJ group)、8名の対象がMTSSの既往がないと回答した(n=8, 16脚; UNINJ group)。NONINJ groupと比較してINJ groupの足部回内外運動域と足部回内モーメントは有意に小さかった(p=0.04,)。 MTSSの既往があるランナーと既往がないランナーとの間でジョギング立脚相における足部の運動学・運動力学に違いがみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の特徴はランニング傷害受傷以前から受傷後までの経過を前向きに縦断的に解析することである。それゆえ、定期的な計測が必要である。しかし、2019年度末からのCOVID-19の感染拡大により、前回計測から1年後の計測が行えていない。これにより縦断的な解析ができていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
撮影してあるMRIデータの解析を進めることにより、内側脛骨過労性骨膜炎の既往があるランナーの形態学的特徴および運動力学的データとの関連を明らかにする。前回計測した歩行、ステップ動作を解析し、内側脛骨過労性骨膜炎の既往があるランナーの運動学・運動力学的特徴をランニング以外で抽出可能か否かを検討する。 COVID-19が終息し、本学の研究環境が再整備でき次第、2回目のデータ収集に進む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前向きコホート研究であるため、対象者への研究謝礼金(残り2回分の計測)を130,000円予定している。英文校正費用として160,000円、学会参加費と交通費で25,000円を計画している。
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