平成31年度は,主として平成30年度で得られた成果であるデータ処理の基盤アルゴリズムを2次元および3次元のデータに適用し,姿勢の類似度評価,姿勢の三次元マッチング,グラフィカルモデルによる骨格領域分割,アルゴリズムの洗練化といった具体的な項目に対して研究を進めた. まず類似ポーズをデータベースから検索するため,姿勢の類似度尺度を定義した.この尺度は,人間の視覚的類似度を基準にして人間のポーズによって定義されるものであり,具体的に,リカレントベストバディ類似度と呼ばれる双方向の類似度尺度を提案した.次に,2つのポーズを比較するため,姿勢の三次元マッチングを行った.そこで,メッシュデータを用いない点群解析フレームワークを提案し,局所的な特徴に対する双方向の類似度測定を行った.それから,対象ポーズに対して,骨格領域分割を行った.単一フレームの三次元点群から領域セグメンテーションを行うために,点群データに多数の候補領域解を割り当てることで最適化を行う必要がある.具体的に,エネルギー最小化戦略に基づいたグラフィカルモデルによる骨格領域分割法を提案した.完成したシステムは,手動で指定する直線モデルを骨格モデルの参考情報としているため,対話型であり,動作の分割修正が可能である.システムの構築中に常に問題点の改善や洗練化を検討し,システム構築を目指した.実験に際し,被験者に対して実験内容を十分に説明し,相手方の同意等を得たうえで研究計画を実施した.
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