最終年度である本年度は,これまでに開発しているモーションキャプチャと6台のホールド負荷計測システムを組み合わせた,スポーツクライミングのための運動計測システムを用いて,運動計測実験を行った.前年度までの運動計測では,一人の上級者のデータの計測にとどまっていたが,本年度ではスポーツクライミングの国体県代表経験者および中級者を複数集め,乗り込み動作およびランジという飛び出す動作の計測を行った.計測データを元に解析を行い,上級者と中級者の差異について確認した.また,同じ動作においても様々な異なるパターンの運動が上級者の中にもみられることが分かった.これは上級者であっても,身長や四肢の筋肉量のバランスによって最適な動作が異なることを示しており,今後の更なる動作解析,最適化において重要な情報である.これらの結果は,モーションキャプチャによって得られた幾何情報および力覚センサによって得られた力情報の両方を調べることで初めて分かる情報であり,開発したシステムの有効性を確認した.また,計測データを被験者に提示するインターフェースの改良を行い,全身の運動情報および力情報の一部をグラフによって比較検討可能なUIを追加した.開発したインターフェースを実際に被験者に提示し,有用であるとの評価を確認した.これらの研究成果は,第21回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 SI2020において発表した.
|