研究課題/領域番号 |
18K17825
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
萩原 悟一 九州産業大学, 人間科学部, 准教授 (30734149)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学生アスリート / UNIVAS / 文武両道 |
研究実績の概要 |
今年度は学生アスリートのアイデンティティとスポーツ傾倒意図等の結果要因との関連を検討することであった。また、学生競技者アイデンティティ形成に影響を与える先行要因を検討し、学生競技者アイデンティティとの関連を明らかにすることであった。本年度は、まず、組織アイデンティフィケーション理論(Mael & Ashforth, 1992)に着目し、学生アスリートの所属する組織は大学および体育会運動部(スポーツチーム)の2か所存在することから、組織アイデンティフィケーションも2つの側面から検証した。大規模調査の前に、学生アスリート500名を対象とする調査を実施し、二つの組織に対する組織アイデンティフィケーション尺度を作成した。さらに、これらの先行要因および結果要因を合わせて学生競技者アイデンティティ形成モデルを構築し、学生競技者アイデンティティの形成要因から行動、思考に至るまでの一連のプロセスを明らかにするため、全国で1500名の学生アスリートを対象に大規模調査を実施した。なお、当初予定は3000名を予定したため、約半数のデータにて分析を進めた。学生競技者アイデンティティ形成モデルの検証については、部活動に対する帰属意識(アイデンティフィケーション)が学生アスリートとしてのアイデンティティに影響し、競技活動に傾倒している可能性を示すモデルを構築することができた。また、学生アスリートのアイデンティティの構成要素は競技に関してのアイデンティフィケーションが強く影響を与え、学業に関するアイデンティフィケーションは影響関係にはない可能性を示唆する結果を明らかにした。一方、大学の制度やレベルによってこれらの関係性は異なることも示されているため、さらなるデータの蓄積と解析が必要であることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による大学諸活動の中止などが2020年4月から続いており、調査実施時期が大幅にずれ込んでいる。2020年12月には調査を実施したが、2021年1月に緊急事態宣言が再度発令されたため、調査を一時中断している。現在、12月に取得したデータをもとに解析を進めるとともに、今年度の調査に向けて準備を進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は3度目の緊急事態宣言が明けてから追加調査を実施し、データがまとまったところで分析を進める予定である。なお、これまで分析したデータについては7月の学会および国際誌への投稿を準備しているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は大学生アスリートを対象とした調査研究であるが、本年度はCOVID-19の影響により大学諸活動の中断や休止が続き、調査時期が延期になってしまうなどの予期せぬ事態が起きた。調査時期が後ろ倒しになったことで分析および論文作成の時期が遅れたことにより次年度使用が生じている。今期はオープンアクセスの国際誌への投稿(2編予定)および国際学会(オンライン予定)への参加が予定されている。また、英文校正費等で使用する。
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