研究課題/領域番号 |
18K17835
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
設楽 佳世 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部, 技術補助員 (00632845)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アスリート / 体脂肪率 / 除脂肪量 / 筋量 / 脂肪量 / 周径囲 |
研究実績の概要 |
アスリートのコンディショニングチェックやトレーニング効果検証を行ううえで、正確且つ汎用性の高い身体組成の評価法の確立が必要である。本研究では、簡便に計測可能な周径囲などの形態指標から、アスリートの身体組成を評価し得る指標を選出することを目的とした。【方法】男性シニアアスリート39名を対象に、光学3次元人体形状計測法による形態計測と、DXA法による身体組成の測定を行った。身長、体重、頚囲、胸囲、腹囲、臀囲、上腕囲、前腕囲、大腿囲、下腿囲を独立変数、体脂肪率、除脂肪量、全身・身体セグメントの脂肪量及び筋量を従属変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行い、身体組成の説明変数を選出した。【結果】体脂肪率、除脂肪量及び全身筋量の説明変数は、体重及び腹囲(体脂肪率:R2 =0.65、除脂肪量:R2 =0.98、全身筋量:R2 =0.97)であった。全身、下肢及び体幹の脂肪量の説明変数は、腹囲及び頚囲(全身脂肪量:R2 =0.80、下肢脂肪量:R2 =0.72、体幹脂肪量:R2 =0.75)、上肢脂肪量の説明変数は腹囲(R2 =0.80)であった。身体セグメントの筋量の説明変数は、上肢筋量が前腕囲、腹囲、下腿囲、体重(R2 =0.89)、下肢筋量が腹囲、身長、体重(R2 =0.90)、体幹筋量が体重(R2 =0.92)であった。【結論】以上の結果より、1)腹囲はアスリートの身体組成の評価指標になり得ること、2)腹囲に加え、脂肪量評価には頚囲、筋量評価には体重を用いることで、アスリートの身体組成をより正確に評価できる可能性があること、が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部のデータ取得と、取得済データを基にした研究成果の報告(学会発表)が、平成30年度に完了した。被験者数をさらに増やす必要はあるが、今後研究課題を進めるうえで解決すべき課題を明らかにすることができ、平成31年度の研究計画をより詳細に練るための準備が整った。また、購入部品として申請した、形態計測データの自動分析・処理を行うためのソフトウェアを予定通り購入し、本研究課題を効率よく遂行し新規性の高い研究として完成させるための手法を、模索することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、形態指標を用いたアスリートの身体組成の推定式を開発することを目的とし、日本人シニアアスリート100名程度を対象に、光学3次元人体形状計測法による形態計測と、DXA法による身体組成の測定を行うことを計画した。平成30年度では39名の測定が完了したため、平成31年度においても同様の測定を引き続き実施し、データ数をさらに増やす予定である。平成30年度に購入したソフトウェアを用いて、光学3次元人体形状計測法で取得したデータをより詳細に分析する。分析が完了したデータから随時学会発表により成果公表し、その後論文執筆に取り掛かる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初物品として購入予定であった「3次元 データ解析・相同モデル支援ソフトウェア」が、永久ライセンスの販売を中止したため、同じ仕様の年間ライセンスのソフトウェアに切り替えて購入した。そのため、物品費として計上していた金額と実支出額との間に差額が生じた。また、データ取得を測定実施機関の体力測定の一環として実施したため、当初予定していた被験者謝金及び検者謝金が不要となった。以上の理由から、次年度使用額が生じた。 この次年度使用額は、前述したソフトウェアの年間ライセンスの購入費、学会発表のための旅費、論文投稿費及び英文校正費等として、使用する予定である。
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