研究実績の概要 |
本年度は、研究実施計画に基づき以下を行なった。 【レジスタンストレーニングが大脳運動野の活動に及ぼす影響】 背景:レジスタンストレーニング(RT)は、大脳運動野を始めとする中枢神経系の活動に変化を生じさせると考えられている。大脳運動野の活動は、経頭蓋磁気刺激(TMS)で誘発される運動誘発電位(MEP)を筋電図で記録することにより定量することが可能である。本研究では、TMSによるMEPのマッピング(反応領域の定量)法を用い、RTが大脳運動野の活動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。方法:肘関節屈曲筋群のRTを週2回・3年以上実施している鍛錬者15名(鍛錬者群)と運動習慣のない非鍛錬者15名(コントロール群)が、低強度(最大筋力の10%)の等尺性肘関節屈曲を実施している際、大脳運動野の複数位置(15mm間隔の7*7の格子:最大49点)にTMSを与え、MEP(200μV以上)が生じる領域を定量した。TMSの強度は、hotspotにおいてMEPの最大振幅値(MEPmax)の20%になるよう各被検者で調整した(i.e. 刺激強度は位置間で統一、被検者間では異なる)。結果:HotspotにおけるMEP振幅値は、両群で差はなかった(19.8% vs 19.3% MEPmax, 鍛練群 vs 非鍛練群, P > 0.05)。しかしながら、マッピングの反応領域(MEPが生じた刺激位置の数)は、鍛錬群が非鍛練群よりも有意に大きかった(17.5 ± 7.5 vs 10.4 ± 4.1, P < 0.05)。結論:RTにより、力発揮中の大脳運動野の活動領域が大きくなることが示唆された。
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