研究課題/領域番号 |
18K17839
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
神崎 圭太 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (30637286)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルギニン / 遅筋 / mTORC1 / タンパク質合成 / レジスタンス運動 / アミノ酸センサー / CASTOR1 |
研究実績の概要 |
2019年度は,アルギニンの摂取が筋タンパク質合成に重要な役割を果たすmTORC1シグナリングに及ぼす影響,および一過性のレジスタンス運動がCASTOR1(アルギニンセンサー)の発現に及ぼす影響を,速筋と遅筋において明らかにすることを目的とし,下記の実験を行った. 実験1:アルギニンの摂取がmTORC1シグナリングに及ぼす影響 18~20時間の絶食を行ったWistar系雄性ラットに,0,88,177,353,530,1061 mg/kg体重のアルギニン溶液を経口投与した(530 mg/kg体重が1日の給餌に伴うアルギニン摂取量である).投与60分後に,三種混合麻酔下において,腓腹筋(速筋)とヒラメ筋(遅筋)を摘出し,分析に供した.その結果,ヒラメ筋では,0 mg/kg体重に比べて1061 mg/kg体重で,mTORC1の標的タンパク質であるp70S6K(Thr389)とその下流にあるrpS6のリン酸化が増加するが,腓腹筋ではこれらの変化がみられないことが明らかとなった. 実験2:レジスタンス運動がCASTOR1の発現に及ぼす影響 Wistar系雄性ラットに,三種混合麻酔下において,坐骨神経からの電気刺激を用いて,片脚の下腿三頭筋に3秒間の最大収縮を10回×5セット(セット間は3分間安静)負荷するレジスタンス運動を行った.反対脚は安静脚とし,コントロールとして用いた.運動終了2時間および24時間後に,両脚から腓腹筋とヒラメ筋を摘出し,分析に供した.その結果,安静脚に比べて運動脚のCASTOR1の発現が,腓腹筋では増加するが,ヒラメ筋では変化しないことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は,アルギニンの摂取がレジスタンス運動後のmTORC1シグナリングに及ぼす影響についても検討する予定であった.しかしながら,この点については,mTORC1が活性化するアルギニンの投与量および投与後のmTORC1活性化の時間経過を検討することに時間を要したため,明らかにすることはできなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,アルギニンの摂取がレジスタンス運動後のmTORC1シグナリングや筋タンパク質合成に及ぼす影響を,速筋および遅筋において明らかにする予定である.2019年度の研究で,アルギニンの投与方法,レジスタンス運動の方法,ウエスタンブロット法を用いたmTORC1活性化や筋タンパク質合成の評価法を確立できたため,スムーズに研究を進めることができると考えている.この研究でアルギニンの摂取がレジスタンス運動後のmTORC1活性化や筋タンパク質合成を促進することが明らかとなった際には,アルギニンの摂取とレジスタンストレーニングの併用が,筋肥大に及ぼす影響についても検討したい.
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