本研究の目的は、発育期雌ラットを用いて、食餌量不足条件でのジャンプ運動は骨強度増加を引き起こすのか、それとも骨強度低下を引き起こすのか、明らかにすることである。2018年度の実験では、安静-自由摂食群、ジャンプ-自由摂食群、安静-食餌制限群、ジャンプ-食餌制限群に分け、13週間飼育を行った。ジャンプと食餌制限の骨に対する組み合わせ効果は存在しないこと、ジャンプは骨強度・骨密度を高め、食餌制限は骨強度・骨密度を低くする効果を有すること、その効果により、安静-食餌制限群と比較してジャンプ-食餌制限群の骨強度・骨密度が高くなり、ジャンプ-自由摂食群と比較してジャンプ-食餌制限群の骨強度・骨密度が低くなることを明らかにした。一方で、食餌制限による生体への影響が想定とは異なり、性周期異常と骨への悪影響を大きく引き出せなかった。そこで、2019年度の当初の予定では、成熟期雌ラットにおける食餌量不足条件でのジャンプ運動が骨へ及ぼす影響を検討する予定だったが、計画を変更し、食餌制限を実施する際の制限量を変化させ、異なる食餌制限量が骨や性周期にどのような影響を及ぼすかの検討を行った。発育期雌ラットを用い、エネルギー摂取量を0%、10%、20%、30%、40%制限を行う群の計5群設定し、10週間の飼育を行った。結果、子宮重量の減少が40%制限群のみに生じた。骨量の減少は、30%制限を超えると生じた。以上の結果より、30%エネルギー制限より骨への悪影響が生じ、40%エネルギー制限より性周期への悪影響が顕著に生じる可能性が示唆された。
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