研究課題/領域番号 |
18K17848
|
研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
稲葉 優希 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 研究員 (30709431)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | バスケットボール / 動作解析 / 試合分析 / リリースパラメータ / ビッグデータ |
研究実績の概要 |
本研究は、バスケットボールの試合中に高いシュート成功率を有するシューター及びリリースパラメータの特徴と、シュートの成功につながるプレーの背景を明らかにすることで、バスケットボールの競技力向上に寄与することを目的としている。特に、近年テクノロジーの発展に伴い、現場でも多く導入され始めている選手やボールの位置情報や速度等の情報を取得するトラッキングシステムで得られる情報と、実験室環境下で得られる詳細情報とをあわせることによって、良いシュート動作の定義と、そのような動作の取得のためのトレーニング方法が明らかにできると考えて、両方の手法を活用することを予定している。平成30年度は、初年度の取り組みとして、比較的安価に入手できるトラッキングシステムを大学のチームで試用した。選手の腰部にセンサを取り付けて、練習を行ってもらい、位置情報を取得した。選手の位置情報については問題なく取得できることが確認できた。一方で、ボールの位置情報の取得方法については、ボールの内部にセンサを埋め込むうえで技術的な課題が生じており、まだ実現できておらず、課題となっている。令和元年度はこの点を早急に解決して、試合中のシュートにおけるリリースパラメータも取得できるようにする。また、同チームとは打ち合わせの機会を設けて、これまでの研究成果(実験室ベースの方法によって、最適なリリースパラメータを推定できること)を説明し、協力の同意をもらったため、前述の課題の解決ができ次第、実験室環境下での測定とあわせて令和元年度に、測定を実施していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は予定通り、これまでの研究成果(Inaba et al., 2017)を基に、大学のバスケットボールチームと、研究への参加についての打ち合わせを実施したうえで、予備実験を実施できた。具体的には、大学のチームに対して、これまでの研究成果を説明し、あるゲーム分析システムをチームが通常練習をする体育館において利用して、問題なく利用できることを確認できた。選手の位置情報を取得できた一方で、ボールの位置情報の取得についてはまだ取得できていないという課題があるため、最適なシステムの選定及び利用の方法について、更なる検討が必要であると考えられる。また、NBAシーズンのデータについては、解析用のプログラムの構築を行ったが、リリースパラメータとシュート成功率の関係を明らかにするまでには至っていないため、現状の進捗具合については、やや遅れているとしたが、順に課題を解決しているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、平成30年度に試用したシステムを中心に、実際に試合中のデータ(ボールのデータを含む)を取得できる環境を整える。そのことによって、試合中のシュートにおけるリリースパラメータが取得でき、実験室環境下だけでなく、試合中のリリースパラメータと成功率の関係も明らかにしたい。平成30年度に話し合った結果を基に、大学のバスケットボールチームに所属する選手に対して、実験室環境下と試合時の環境下における両測定を並行して実施していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度については、実験の計画を達成するための最適なシステムを選定するために、先ずは様々なシステムを試用・検討したため、費用が発生せず、次年度使用額が生じた。
|