研究課題/領域番号 |
18K17853
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 祐美子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60780608)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グリコーゲン回復 / 骨格筋 / 小腸 / 糖質 |
研究実績の概要 |
本研究では、運動後の骨格筋グリコーゲン回復を促進させるために、小腸の糖質吸収機能の向上に繋がると考えられている方法が有効か、検証することを目的とした。本年度は、人工甘味料の摂取が運動後の骨格筋グリコーゲン回復の促進に繋がるかについて、予備的な検討を行った。継続的な人工甘味料摂取、および、単回の人工甘味料摂取、それぞれ、小腸でのグルコース吸収促進や血糖値の上昇に繋がる可能性があるか、検証した。【継続摂取】通常飼料(炭水化物のカロリー比60%)を摂取している雄性のICRマウスに、人工甘味料スクラロースを含む水または通常の水を飲水として1週間与えた。先行研究では、スクラロースを含む水を飲水として与えることで、マウスの小腸粘膜上皮でグルコース輸送担体の発現増加がみられていた。しかし、回腸粘膜上皮サンプルのタンパク質量をウェスタンブロット法で定量化した結果、管腔側のグルコースの取り込みを中心的に行うナトリウム依存性グルコース輸送担体1(SGLT1)、管腔から取り込んだグルコースを血管側に放出するグルコース輸送担体2(GLUT2)、いずれもスクラロース1週間摂取による効果はみられなかった。【単回摂取】人工甘味料スクラロースを含む水または通常の水を経口投与し、10分後にグルコース水溶液を経口投与し、その後60分間安静に保った。グルコース投与後の血中グルコース濃度と血漿インスリン濃度に、人工甘味料摂取および水摂取による差はみられなかった。また、スクラロースはインスリン分泌を促進するホルモンGLP-1濃度を高めるとの報告があったが、グルコース経口投与後10分後の血漿GLP-1濃度に人工甘味料摂取による影響はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説を支持しない結果ではあったが、人工甘味料の摂取効果を2条件で検証できたので、進捗としては順調だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、糖質の吸収機能の向上が示唆されている高糖質食の摂取によって、運動後の骨格筋グリコーゲン回復を促進させることができるか、検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定だった学会の一部は別の予算での出張となったことから使用額に大幅な変更が生じたため。また、本年度購入予定だった装置を次年度に購入することと決めたため。
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