アキレス腱断裂は、競技復帰まで長期を有し、その後もパフォーマンスへの影響が残る重症度の高いスポーツ傷害である。剣道は、アキレス腱の問題が多く発生し、特徴的な受傷起点を有する種目である。本研究は、アキレス腱断裂の一次予防に向けて、断裂の前段階として関連があるとされる慢性的なアキレス腱障害の発生状況と要因を、若年剣道競技者において明らかにすることを目的とした。具体的には、若年剣道競技者におけるアキレス腱障害の1.発生状況の実態調査、2.発生に関わると考えられる因子の計測、 3. 分析による発生要因の抽出の3つの課題について検討を行った。 2018年度は、上記の課題1および2を測定する準備段階として、質問紙の作成と解析方法についての検討と予備実験を行なった。 2019年度は、剣道におけるアキレス腱障害発生の実態と発生因子の質問紙の調査を行なった。途中、新型コロナウイルス感染症の流行により調査の実施が困難となり、Webによる調査方法に切り替えるための検討と研究倫理の申請を実施した。 2020年度は、Webでの追加調査を行ない、最終的に大学生2000名、高校生1000名を超えるアキレス腱障害についての貴重な資料を得て、調査結果をまとめた。課題2で必要な直接出向いての測定が、新型コロナウイルス感染症の影響で当初の予定通りの実施が難しくなったため、方法の変更とその準備にあてた。2021年度は、これまで得られた成果について学会発表を行い、論文投稿および協力者へのフィードバックの準備を進めた。課題2のために必要な測定の準備と調整等を行った。 2022年度は、直接測定項目の予備測定を行った。また、各種学会にて、測定に関わる最新の情報を収集し、本測定の依頼等を実施した。2023年度は、直接測定の本測定を実施し、データの整理および課題3の分析を行った。得られた成果を学会大会または論文で発表する準備をした。
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