研究課題/領域番号 |
18K17858
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
辻 文 県立広島大学, 総合教育センター, 准教授 (40707212)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高体温 / 過換気 / 時刻 / 熱中症 |
研究実績の概要 |
暑熱環境下において深部体温が上昇すると,高体温誘因の換気亢進(過換気)反応が見られ,これにより動脈血中二酸化炭素(CO2)分圧の低下とそれに付随する脳血流の低下が起こる。今年度は,安静加温による深部体温上昇時において二酸化炭素に対する脳血流応答が時刻の違いの影響を受けるのか検討した。健康な成人男性を対象とし,常温環境下において,1) 早朝および2) 夕方の2条件下で,座位安静状態での下肢温浴(42℃)と上肢に着用した水循環スーツ内に47℃の温水を循環させることで深部体温を1℃上昇させた。その前後で,高CO2(5%CO2,21%O2,N2 balance)吸入および過換気を行い,呼気終末CO2分圧(PETCO2; 動脈血CO2分圧の指標)を低下および上昇させ,呼吸・脳血流反応を評価した。その結果,PETCO2と中大脳動脈血流速度(脳血流量の指標)の関係における回帰直線の傾き(CO2に対する脳血流の応答性)を検討したところ,高CO2吸入によるPETCO2上昇時の傾きは,深部体温上昇時において早朝よりも夕方で有意に低下した。一方,過換気によるPETCO2低下時の傾きは,加温前と加温後ともに,朝と夕方で違いはみられなかった。これらの結果から,安静加温による深部体温上昇時において,二酸化炭素に対する脳血管の収縮反応は時刻の影響を受けない一方で,脳血管の拡張反応は早朝よりも夕方に低下することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに実験を実施できたことから,研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
実験のセットアップおよび予備実験等は既に完了していることから,被験者を確保し,予定の実験を着実に実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも早く実験を実施できることになり,それに伴い実験謝金および消耗品購入に必要な分として前倒しで請求および使用し,その残りが次年度使用額として生じた。残金は翌年度分の助成金と合わせて,2年間の研究計画における実験実施に必要な助成金として計画通りに使用していく予定である。
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