近年,体温上昇時に起こる過換気とそれに付随する脳血流の低下が熱中症の一因であることが示唆されているが,これら反応に及ぼす時刻の影響はほとんど明らかではなかった。本研究の結果,早朝よりも夕方では高体温時の脳血管拡張機能が低下することが明らかになった。熱中症による搬送者数は早朝よりも昼から夕方で多く,これには単に気温の変化だけでなく,本研究で観察された夕方における二酸化炭素に対する脳血管拡張機能の低下といった高体温時の脳血流反応の日内変化が関与している可能性がある。本結果は暑熱環境下おける安全確保とその具体策を提示する上で重要な基礎的知見になると考えられる。
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