研究課題
肉離れ既往脚における筋機能の低下が認められることがこれまでの研究で明らかになっているが、末梢(筋)の機能不全のみならず運動制御に重要な中枢神経系の変容が神経筋機能低下に影響している可能性を検証することを目的とし、本年度の研究を進めた。第一に、大腿筋(大腿二頭筋および大腿直筋)において皮質脊髄路興奮性の評価を行った。健常成人男性32名を対象とし、経頭蓋磁気刺激装置を用いて大腿二頭筋および大腿直筋における刺激―応答曲線を取得し、皮質脊髄路興奮性調節の指標である最大傾斜、定常値、閾値の3つのパラメータを算出した。その結果、大腿二頭筋の出入力曲線の最大傾斜と閾値、定常値が大腿直筋のそれに比較して有意に低値を示し、二筋の皮質脊髄路興奮性の特徴が異なることが示唆された。これは、スポーツ活動中の筋出力調整の特徴が二筋で異なる可能性を示している。本研究はでは、従来スポーツ現場で実践されているの最大筋力評価に加え、皮質脊髄路の神経動員特性の評価を試み、これまで評価されてこなかったハムストリングスの神経‐筋制御機能を評価できる可能性が見出された。本研究成果は論文にまとめ投稿し、現在査読中である。次に、ハムストリングス肉離れ受傷既往を有するアスリート19名を対象に、大腿部筋における皮質脊髄路興奮性の計測を行った。受傷筋の活動制御特性を明らかにするためには今後多くのデータを蓄積していく必要があるが、引き続き受傷筋の神経筋活動低下に至る神経生理学的機序の解明に向けた検証を継続していく。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Sports Sciences
巻: 40 ページ: 431~441
10.1080/02640414.2021.1996986