研究課題/領域番号 |
18K17867
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤田 善也 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授(任期付) (30633226)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | スキー反力 / ポール反力 / キネティクス / サブ走法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,力センサを内蔵したポールとスキーを独自に開発し,上肢および下肢で発揮される力の滑走速度への貢献度を走法間で比較することである.前年度には,ポールとローラースキーから発揮される力の検出のためのセンサシステムの開発を実施した.当該年度には,スケーティング種目においてサブ走法が切り替わる斜度および速度を特定するための実験①を実施した.被験者は日本代表選手を含むクロスカントリースキー競技者であった.被験者には,長さ50m,斜度約5度の上り坂において,低速(V@70%HRmax)および高速滑走を任意のサブ走法で行わせた.その結果,約5度の上り坂では,低速滑走時にはV1スケーティング走法を選択,高速滑走時ではV2スケーティング走法を選択することが示された.以上の結果より,同一の斜度においても滑走速度の違いによって選択されるサブ走法が異なることが示唆された.また,クラシカル種目においてもサブ走法が切り替わる斜度および速度を特定するための実験②を実施した.被験者は実験①と同様であった.被験者にはトレッドミル上において,ポールおよびローラースキーを用いた任意のサブ走法で高速滑走(V@90%HRmax)をさせた.斜度は1度から徐々に漸増させ,サブ走法が切り替わった時点の斜度を記録した.その結果,約1~4度の斜度ではダブルポーリング走法が用いられること,約4~7度の斜度ではキックダブルポーリング走法が用いられること,約7度以上の斜度ではダイアゴナル走法が用いられることが示された.以上の結果より,クラシカル種目で用いられるサブ走法は,斜度の違いによって選択されることが明らかとなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度には,スケーティング種目で用いられるサブ走法が選択される要因について,先行研究で明らかとなっていた斜度による要因だけでなく,滑走速度の違いによっても選択がなされる可能性が示唆された.さらに,当初は次年度に予定されていたクラシカル種目におけるサブ走法が選択される要因についても,3つのサブ走法においてサブ走法の変更が発生する斜度を明らかにしてきており,本研究課題の進捗状況ははおおむね順調に進展しているといえる.一方でCOVID-19の感染対策のため,当該年度末から現在までは人を対象にした研究のうち,実験実施が制限される状況であった.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,本研究課題の最終目的であるスケーティングおよびクラシカル種目のサブ走法中の上肢と下肢の貢献度の比較について,ポールセンサおよびローラースキーセンサを用いた実験を実施する予定である.研究に必要な機材は準備が完了している状況であるため,研究課題を解決するための研究推進はできているといえる.COVID-19の感染対策を施しながら,実験実施を進めていく予定であるものの,研究に必要な人数の被験者の確保が課題である.社会情勢の変化や研究倫理に従い,被験者の安全に最大の注意を払って研究を慎重に進めていく所存である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成31年度に計上していた消耗品費は,実験被験者の人数が少なかったため,当該年度には必要とならなかった.次年度にはより多くの実験と被検者確保を計画しているため,当初通り,消耗品費として使用を計画している.
|