研究実績の概要 |
目的;脳振盪診療は症状経過等の問診が中心で行われ, 安静期間の設定, GRTPなどの知識は高度の経験を要する. 残念ながら全ての脳神経外科医がスポーツ脳振盪に十分な知識と経験を有しているとは言えない. よって, 脳振盪症状の定量化が可能になれば, 障害程度を把握し競技復帰に関しての明確な指針を示す事ができる.本研究は2018年科学研究費助成事業 若手研究「スポーツ脳振盪における眼球運動測定による定量化の研究(H30年度~R3年度)」18K17868にて行い, 本方法の有効性と実効性の知見を得ることができた. 方法の概要;眼球運動測定装置(Limbus Tracking Oculography以下LTOG)は、眼球に赤外線を照射して反射光量を測定することで、眼球表面の黒白差異で運動位置を光学的に測定する.非侵襲で高速かつ高分解能な測定が可能で、測定結果をデジタルデータ形式で保存する.LTOGはPC制御する視標を被検者に提示し, 指標に追従する眼球運動を関連付けて解析する. 測定に使用するLTOGは, 一定回転をする回転指標を見せて眼球にパシュート(追従運動)をさせる方法, 離れた位置にあるLEDを交互に点灯させて眼球にサッケード(飛躍運動)をさせる方法がある. パシュートの場合は, デジタル化された運動データを高速フーリエ変換FFT解析し, 周波数分析することで眼球の追従性を定量的に評価する.サッケードは潜時と眼球の移動速度を評価する. 使用機器の詳細; 羽根邦夫「 強膜反射法を用いた眼球運動測定とフーリエ解析を用いた滑動性追従眼球運動の解析」神経眼科35(1) 2018 結果;1)本方法でSRC患者にて特異的な変化が観察できた(=Rff15%以下). 2)SRC回復過程がRffの改善で評価可能となった.
|