研究課題/領域番号 |
18K17870
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
村上 祐介 金沢医科大学, 一般教育機構, 助教 (70744522)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発達性協調運動障害 / 知覚 / 注意 / 運動方略 / 微視的スケール |
研究実績の概要 |
平成30年度は、本研究への協力を得られた対象児および対象者に対し、試行的にMovement ABC-2およびBOT-2を実施した。その際には、本研究の目的である微視的スケールにおける発達的変化の観点から、課題を実施している時の知覚や注意の向け方、運動方略を聞き取る調査を行った。具体的には、課題で使用した道具や物などの大きさを調べる調査(知覚)、課題遂行中に自分の身体か使用していた道具のどちらにどれだけ注意を向けていたかを調べる調査(注意の向け方)、課題遂行にあたりどんなことに気をつけようとしたかを調べる調査(運動方略)、などである。 対象児および対象者のアセスメント結果は、身体的不器用さが生活場面で支障をきたす水準ではなかった。しかし、課題遂行時の知覚や注意の向け方、運動方略は一人ひとり異なっており、その状況での環境との相互作用がパフォーマンスに影響を与えていることが示唆された。特に知覚の調査では、課題遂行前と遂行後で対象物の大きさの知覚に変化が示されるなど、興味深い結果を得ることができた。先行研究においても、DCD特性のある児者の知覚特性は実験的に研究されているが、微視的スケールの観点から知覚の側面の変化過程を分析した研究はみられず、検討の余地がある。平成31年度は、課題遂行時の知覚や注意の向け方、運動方略をもとにした心理的側面の変化過程を分析し、微視的スケールの分析にもとづくDCD児の発達的変化を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、予備的ではあるが新たな研究協力者に協力を得ることができた。そして、実際の運動課題遂行場面について、知覚や注意の向け方、運動方略について、詳細な内的状況を聞き取ることができた。その結果、予想していた以上に個々によって異なる様子を示すことが分かった。これらの結果は、ダイナミカルシステムアプローチで指摘されている個々人の発達的変化を分析すること、そしてその時々の環境との相互作用を分析すること、の重要性を改めて示していると考えられた。これらの知見は、微視的スケールの観点から発達的変化を分析する際に、知覚や注意の向け方、運動方略といった新たな変数の存在を示しており、縦断的な検討を行っていく際に極めて価値ある知見となった。 以上の理由により、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、平成30年度に得られた知見をもとに、運動課題遂行中の知覚や注意の向け方、運動方略といった要因を押さえながら、対象児者に課題遂行中の内的状況の調査を行っていく。特に、その時々の状況や課題の難易度によってそれらの内的状況は個々に変化を繰り返すことが予想される。その変化の移り変わりを微視的スケールの観点から分析し、運動課題遂行中の心理的側面の変化過程を分析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)旅費について、当初は第23回日本アダプテッド体育・スポーツ学会に参加し情報収集を行う予定であったが、参加できなくなってしまったため、次年度使用額が生じた。
(使用計画)2018年度の成果発表および情報収集のため、当初の予定に加えて新たに発達心理学会の学会大会に参加する。そのための旅費の一部にあてる。
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