研究課題/領域番号 |
18K17871
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
原田 健次 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (70736058)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経頭蓋電気刺激 / 運動制御 / 投動作 / 個人差 |
研究実績の概要 |
経頭蓋電気刺激(tES:transcranial electric stimulation)は頭蓋骨上から微弱な電流を流すことで脳の神経活動を修飾できることが示されている。認知機能、運動制御、情動などの発現に対して、修飾したい機能や状態を担うとされている領野を対象としてtESを行うことで、その機能、あるいは学習や訓練から得る効果を促進・抑制する可能性が示唆されている。そのため、tESの有用性が期待される一方で、機能や学習効果に対する電気刺激の効果は個人差が大きいことが示唆されている。従って、tESを行うことで期待する効果を安定して得るには個人差が生じる要因の解明が重要である。 本申請課題はtESの運動パフォーマンスに対する影響の個人差に関わる要因を解明するために、運動パフォーマンスに関わる動作の中でも投動作に着目し、ダーツ投げを投動作のモデルとして用いて、tESのダーツ投げのパフォーマンスに対する影響の個人差を解明することを目的とする。tES実施前のパフォーマンスはtESの効果の個人差に関連することが示唆されているため、本申請課題ではtESのダーツ投げに対するパフォーマンス変動の個人差を解明するために、tES実施前のダーツ投げのパフォーマンスを検討する。また、個人差に関連する神経基盤を検討するために脳波を計測して安静時と投動作直前の脳波の同期・脱同期について検討する。 実施に向けて前所属との調整を進め、計測環境の構築を完了している。そして、データ計測の実施ができるようになった際に備えて、体動およびtES機器装着に伴う脳波の信号処理プログラムの構築を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画に基づき当該年度は計測環境の構築を完了後、計測を開始する予定であった。しかし、コロナウイルス感染拡大の防止措置を受けて、計測の実施箇所として予定している前所属機関への立ち入りについて学外者が困難な状況が続き、本申請課題の計測が困難であった。そのため、投動作に対するtES効果の個人差について明らかにするためのデータ充足が滞っているため、進捗の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
データの計測箇所として予定している機関との連携を取りつつ、当該機関に立ち入りが可能となり次第、計測を進める予定である。一方で、コロナウイルス感染拡大の防止、および流行状況に伴う社会状況については不透明である。そのため、データ計測が難しくなる可能性も考慮し並行して、tESと運動や学習との関連を検討している論文のメタアナリシスを実施し、tESの個人差に関わる要因について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度ではダーツ投げに対するtES効果の個人差を解明するために、データ計測を進める予定であった。しかし、コロナウイルス感染拡大の防止措置を受けて、データ計測の実施を予定している機関である前所属機関への立ち入りが困難であったため、次年度使用額が生じた。次年度使用することとなった金額はデータ計測の際の対象者謝金、計測補助者謝金、機器・消耗品の購入、および論文・学会などの成果発表のための費用等に使用する予定である。
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