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2018 年度 実施状況報告書

肥満誘導性不安障害モデルマウスの腸内細菌叢に対する運動の積極的予防効果

研究課題

研究課題/領域番号 18K17876
研究機関川崎医療福祉大学

研究代表者

小柳 えり  川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50804647)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肥満マウス / 不安行動 / 運動
研究実績の概要

運動習慣は、肥満予防とともに、精神疾患に対する予防効果も期待できるものと考えられるようになったが、不明な点も多い。そこで本研究では、食餌誘導性肥満モデルマウスの抑うつおよび不安行動に対する運動習慣の発症予防効果について検討することを目的とした。
実験には、C57BL/6 雄マウス 4 週齢 (n=60)を、通常食餌安静(CDSED)群、通常食餌自発運動(CDWR)群、高脂肪食餌安静(HFDSDE)群、高脂肪食餌自 発運動(HFDWR)群に分け、通常食および高脂肪食は自由摂取とし、自発運動には、24 時間アクセス可能な 回転ケージを使用し、10 週間飼育した。行動テスト後、脳内(大脳と海馬)の各種遺伝子発現解析を実施した。
その結果、オープンフィールドテストでは中央滞在時間に運動群で安静群と比較して高い値が示され、不安様行動の回避が観察された。一方で、ガラス玉覆い隠しテストでは、運動群で常同行動を示す傾向であった。 強制水泳テストでは、運動群で無動作時間の短縮が生じており、うつ様状態の抑制効果が観察された。しかしシュークロース嗜好テストで観察された高脂肪食による無欲状態に対する運動の効果は観察されなかった。大脳でのBDNFおよびNPY の遺伝子発現に顕著な影響は観察されなかったが、海馬では高脂肪食による明らかな発現抑制が生じていた。脳内炎症性サイトカイン発現には、明らかな変化は観察されなかった。
以上の結果より、運動による不安様行動、あるいはうつ様行動の抑制効果が示されたが、その影響は通常食および高脂肪食にかかわらず誘導されることが現在までの段階で明らかとなっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究はおおむね順調に進展しており、予定していた実験1については、すでにサンプリングまで終了している。順次、ターゲットとしている行動関連因子についての分析を進める準備も十分整っている。運動および高脂肪食餌摂取によるマウスの腸内細菌叢の変化についての解析は、糞便中細菌DNA抽出を終え、現在進行中である。

今後の研究の推進方策

高脂肪食餌摂取による不安行動を示すマウスが観察されるなど行動変容を示しており、仮説の妥当性が示されつつある。また、一部行動テストでは、運動による不安行動改善効果も観察されている。一方、この行動変容の要因として腸内細菌叢の関与の可能性も考えられることから、不安行動を示したマウスの腸内細菌叢の特徴について分析を進めるとともに、不安行動を示したマウスからの便移植を行うことで、腸内細菌叢の直接的な影響について、レシピエントマウスの行動への影響から検討していく。

次年度使用額が生じた理由

研究については順調に進んでおり、それに伴い適切に予算を執行している。一部、当初予定額より安価な消耗品購入額を実現できたため平成30年度の予算残高が生じたが、おおむね順調に予算の執行ができている。次年度以降は、成果報告とともに不安行動を示したマウスからの便移植を行い、腸内細菌叢の直接的な影響について検討するため、不安行動を示したマウスの便移植によるレシピエントマウスの行動評価と行動関連因子の遺伝子解析を行う上で必要な試薬および消耗品の購入費として使用し、計画的な研究の実施を予定している。計画的な研究の実施にあたり、分析の準備・前処理の手伝いとしてアルバイト1名の雇用を予定している。最終的な成果報告として国際学術誌への投稿を念頭に研究を進めている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] マウス不安様行動におよぼす高脂肪食と運動の影響2018

    • 著者名/発表者名
      小柳えり、渡邉知央、小引菜々子、北村裕美、青木孝文、宮川健、クレメニック・マイケル、矢野博己
    • 学会等名
      第73回日本体力医学会大会
  • [学会発表] 高脂肪食および自発運動が脳内タイトジャンクションにおよぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      渡邉知央,青木孝文,小引菜々子,矢野博己,小柳えり
    • 学会等名
      第82回日本体力医学会中国・四国地方会

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公開日: 2019-12-27  

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