研究課題
運動習慣は、肥満予防とともに、精神疾患に対する予防効果も期待できるものと考えられるようになったが、不明な点も多い。初年度本研究では、高脂肪食餌摂取による不安行動を示すマウスが観察されるなど行動変容を示しており、仮説の妥当性が示されつつある。また、一部行動テストでは、運動による 不安行動改善効果も観察されている。一方、この行動変容の要因として腸内細菌叢の関与の可能性も考えられることから、不安行動を示したマウスの腸内細菌叢の特徴について分析を進め、さらに不安行動を示したマウスからの便移植を行い、腸内細菌叢の直接的な影響について、レシピエントマウスの行動への影響について実施した。実験には、C57BL/6雄マウス4週齢(n=60)を、通常食餌安静(CDSED)群、通常食餌自発運動(CDWR)群、高脂肪食餌安静(HFDSDE)群、高脂肪食餌自 発運動 (HFDWR)群に分け、通常食および高脂肪食は自由摂取とし、自発運動には、円盤型自発運動器を設置し、10週間飼育した。行動テスト後、糞便をサンプリングを行った。さらに糞便移植によるマウスの行動観察を行うため、C57BL/6 雄マウス4週齢 (n=36)を、コントロール群、CDSED便移植群、CDWR便移植群、HFDSED便移植群、HFDWR便移植群に分け、週1回合計3回の便移植後5週間飼育し、行動テストを実施した。これまで得られた結果として、運動および高脂肪食餌摂取が腸内細菌叢の形成に影響し主成分分析からも、PC1(22.61%)、PC2(6.02%)明らかとなった。しかしながら、これらの糞便移植によりるマウスの行動変化は現在までのところ示されていない。
2: おおむね順調に進展している
研究はおおむね順調に進展しており、予定していた実験1については、すでにサンプリングまで終了している。ターゲットとしている行動関連因子についての分析は、おおむね終了した。運動および高脂肪食餌摂取マウスの便移植による腸内細菌叢代謝産物について、現在解析中である。本結果を踏まえ、国際学術誌への投稿準備を行っていく。
高脂肪食餌摂取による不安行動を示すマウスが観察されるなど行動変容を示しており、仮説の妥当性が示されつつある。また、一部行動テストでは、運動による不安行動改善効果も観察されている。一方、この行動変容の要因として腸内細菌叢の関与の可能性も考えられることから検討を行う。さらに先行研究より腸内細菌叢により産生される短鎖脂肪酸の行動変容への関与の可能性についても今後検討していく予定である。
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The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine
巻: 9 ページ: in press