研究実績の概要 |
従来の運動・身体活動に関連する研究の多くは, 身体を使って活動すればするほど総エネルギー消費量が増えることを示していた. しかしながら, 一部の研究には身体活動がより多い集団ではその身体活動に見合った総エネルギー消費の増加が見られていない. これらを裏付けるエビデンスが近年, ヒトや猿人類を対象に一定の身体活動を超えると総エネルギー消費量の増加に制限がされるモデルとして発表された. 平成30年度では,アスリートの多大な身体活動に伴う総エネルギー消費量の関連モデルを明らかにするために,まずは,正確な総エネルギー消費量を測定する上で重要な二重標識水法を使って得られた論文をレビューし,総説としてまとめた(体力科学. 2018).結果として,特に自転車・トライアスロン,水中競技などが多くのエネルギーを必要とする可能性が垣間見えた.そこで,これまでに二重標識水法を用いて得られた総エネルギー消費量のデータを用いて,トップクラスのオープンウォーター水泳選手(Appl Physiol Nutr Metab. 2019)と大学セーリング選手(Int J Sport Nutri Exerc Metab. 2018)の研究データをそれぞれ発表した.実際にこれらの研究ではそれぞれ平均で4549 ± 1185 kcal/日と4133 ± 1009 kcal/日と多くのエネルギー消費をしていた.オープンウォーターの水泳のトップ選手の中には測定期間中6000kcal/日を上回る選手も存在した.加えて,トライアスロン選手を中心に,海外の研究論文と同じ加速度センサー付活動量計のActiGraph (GT3X)および24時間心拍数計を組み合わせた,身体活動・運動の計測を詳細に行い解析中である.さらには, 大規模データベースで制限的エネルギー消費量のモデル解析を行うために, 先行して論文が発表された(Ann Nutr Metab. 2019).
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