研究課題/領域番号 |
18K17885
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川崎 伊織 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10779367)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経変性疾患 / 社会的認知機能 / 脳画像法 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究は健常者と神経疾患患者を対象に、ヒトの社会的認知機能を加齢に伴う生理学的変化と脳損傷による神経学的変化から明らかにすることを目的としている。本年度は、昨年度から継続している疾患群のデータ取得を中心に研究を進めた。対象疾患の一つでもある筋強直性ジストロフィー患者25名と健常対照群25名に対し、行動学的データとして心の理論課題や表情認知課題、報酬関連課題、社会参加に関わる指標、その他神経心理学的検査を取得、脳画像データは3D-T1画像、IMP-SPECT画像をそれぞれ取得した。これらの取得データについて筋強直性ジストロフィー患者群と健常対照群の間で差異があるのか、また疾患群において心理症状と脳機能・脳構造にどのような関連があるのか解析を進めている。現時点での解析結果として、心の理論課題では健常対照群と比較して、筋強直性ジストロフィー患者では有意に課題成績が低下していることが示されている。さらに心の理論課題における成績の低下と社会参加におけるハンディキャップの程度には関連があることも示された。当疾患群は当初の予定データ数の取得が完了しており、今後脳機能・脳構造との関連を検討した後論文化をすすめる。並行してもう一つの対象疾患であるパーキンソン病患者に関しても上記の課題、検査の取得を進めており次年度の前半期までには取得が完了する予定である。当該患者に関しては重症度による違いや類縁疾患(多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症など)との比較も検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定している疾患群の一つでデータ取得が完了した。残る一つの疾患群であるパーキンソン病患者のデータは次年度も継続して取得していく。本疾患では、重症度により研究対象から外れる患者も多く、データ取得の完了には時間を要している。並行して取得済みのデータを用いて解析を行っており、全体としては概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現状のまま遂行していく予定である。実験データが取得でき次第解析に取りかかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
放射線核医学検査の一部の検査費用が、診療の一部となり施設負担となったことで予定していた検査費用額に満たなかった。翌年度に計画している他の検査費用や疾患群の取得データに関わる諸経費等、必要経費に当てる予定である。
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