先天性の上肢欠損・形成不全の日本国内の出生数は1万生存出生当たり、3.40人であるが、手根骨より高位の横軸形成不全で義手の処方適応となりうる患者数は1万生存出生当たり0.63人とされる。このため海外でも先天性上肢欠損児の義手の処方とその治療については、稀少疾患であるがゆえに、エビデンスの確立には至っていない。 義手を処方する場合は、出生から成長に伴って継続的な対応が必要であるにも関わらず、義手の診療実績が乏しい本邦では、十分な義手の診療供給体制が確立されているとはいえない。また、成長期にある小児の社会参加の拡大や活動性の促進の観点から、義肢を活用できる制度面の課題もある。 本研究では稀少疾患である先天性上肢欠損は欠損側全体の骨関節や筋肉の低形成、発育異常を認める。非侵襲的評価法である超音波画像診断装置を用いて筋肉や関節の状態について解剖学的評価を行い、その異常の有無を判断することを目的として、本研究を実施した。 本邦でも筋電義手を始めアクティビティ用義手などによるスポーツや課外活動への参加が実現することにより、義手の使用の動機づけや装着率の向上が報告した。義肢を使用した四肢の適切かつ安全な身体活動を促す意義をを明らかにした。先天性上肢欠損児の運動スキルの低下が、機能のある義手の使用によって、改善することができることを明らかにし、報告した。 今後は、先天性上肢欠損児の身体機能の向上を目指した義肢や訓練方法の開発や、評価結果を踏まえた欠損児・者の抱える身体的な課題や問題点に対する最適なリハビリテーションプログラムを作成することにつなげる。
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