研究課題
健診結果と診療報酬明細書の結果を突合した医療ビッグデータベースを作成し、以下の討を行った。1. 糖尿病と冠動脈疾患(CAD)の既往がその後のCADイベントに及ぼす影響の検討 耐糖能を分類した14万のデータから糖尿病と冠動脈疾患(CAD)の既往が将来のイベントに及ぼす影響を検討した。これまでは糖尿病は急性心筋梗塞の既往に匹敵するとされていましたが、わが国においてはCAD既往のある正常耐糖能群のCAD発症リスクはCAD既往のない糖尿病群と比較し約3倍高いことを明らかとした。2. 糖尿病の有無別にみた血糖・血圧・脂質・喫煙の各管理目標達成(状況)がCADに及ぼす影響 生活習慣病診療の中心となる血圧・脂質・血糖・喫煙の管理目標の達成状況がその後のCAD発症に及ぼす影響を、糖尿病の有無別に検討した。その結果、糖尿病患者においても、血糖・血圧・脂質・喫煙4つの管理目標を全て達成することで、非糖尿病で血圧・脂質・喫煙のリスク管理目標を達成している群と同程度までCAD発症リスクが低下することを明らかとした。逆に糖尿病で4つの管理目標を達成していないとCADリスクが15倍上昇することを示した。3. 糖尿病の治療状況と冠動脈疾患、重症視力障害発症の関連の検討 糖尿病の治療状況とCAD、重症網膜症発症の関連を検討し、治療により至適のHbA1c値が異なる可能性を明らかとした。スルホニル尿素薬やインスリンといった低血糖を来たしうる治療では、HbA1c 値の下限(HbA1c 7.0%)に注意を払う必要がある可能性を示した。4. 糖尿病患者における脈圧が重症視力障害・透析発症に及ぼす影響の検討 血管硬化の代替指標の一つである脈圧に着目し、糖尿病患者において、脈圧は既存のリスク因子とは独立した重症視力障害/透析導入のリスク因子であり、その予測能は収縮期血圧より強い可能性があることを明らかとした。
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