研究実績の概要 |
本研究では,着手位置を聴覚的に捉えることができる多段階式の跳び箱を用いた跳び箱運動における新たな指導法を開発することを目的としている。 令和元1年度には,現在小学校で用いられている規格の跳び箱(長さ80cm)よりも長さが短い2種類の跳び箱(長さ30cmおよび50cm, 60 cm)および着手位置を聴覚的に捉えることができる着手位置誘導マットセンサーを用いて開脚跳びの指導を行い,開脚跳びの失敗試技(指導前)と成功試技(指導後)における動作の相違について,バイオメカニクス的手法を用いて検討した。その結果,踏切接地時,踏切離地時および着手時において,身体重心速度は指導後の動作の方が指導前の動作よりも有意に大きいことが認められた。また,踏切時間および第一空中時間のどちらにおいても指導後の動作の方が指導前の動作と比較して有意に短いことが認められた。さらに,着手距離および第一空中局面における身体重心の移動距離についても指導後の動作の方が指導前の動作と比較して有意に大きいことが認められ,開脚跳びの指導後には開脚跳びの動作が改善されることが明らかとなった。 以上のことから,本研究で用いた長さの短い跳び箱とマットセンサーは,開脚跳びを指導する際に開脚跳びの動作を改善するために役立つ補助教具になり得ることが示された。
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