研究課題
【背景】「座りすぎ」が社会的な問題となっている一方で、我々の身の回りには「座らざるを得ない環境」が極めて多い。例えば、学齢期の児童は、1日の大部分を過ごす学校内において、体育実技を除けば基本的に「座って授業を受けること」が求められている。本研究では、小学校学級における立位で作業ができる机(スタンディングデスク)の導入が児童の座位活動パターンおよび血中脂質項目に及ぼす影響を検討することを目的とした。【方法】長野県佐久市に在住する小学6年生43名(11-12歳)を対象とした。介入クラスには、クラスの人数分(n = 22)のスタンディングデスクを提供し、できるだけ長時間の座位活動の継続を避けるよう依頼した。コントールクラスは(n = 21)、従来の環境(座位専用)での学校生活を継続した。介入期間は、2018年7月~2019年3月(7ヵ月間)であり、介入前後に、座位活動の調査および学校血液検査を実施した(2019年度の測定は2019年5月に実施予定)。【結果】介入クラスにおいて、スタンディングデスク導入後、座位活動が有意に減少し(-18.3分/日)、中・高強度身体活動が有意に増加した(+19.9分/日)。主に、学校内での座位活動が有意に減少し、学校外での活動時間に有意な差は認められなかった。【結論】小学校学級におけるスタンディングデスクの導入は、学校内における児童の座位活動を有意に減少させる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
計画通りにデータが採取でき、問題なく進めることができている。また、学会やシンポジウムの招待演者として得られたデータを発表しており、外部へ研究成果を発信することができている。現在、国際学術誌に論文として投稿するため、原稿を執筆している。
2018年度では、スタンディングデスクの導入が児童の座位活動に及ぼす影響を検討し、スタンディングデスクの導入後、座位活動が有意に減少し(-18.3分/日)、中・高強度身体活動が有意に増加(+19.9分/日)することを明らかにした。2019年度は介入後のPOST測定として、学校血液検査の調査を実施する予定(2019年5月下旬実施予定)であり、血液データが得られた後、スタンディングデスクの導入が血中脂質項目に及ぼす影響を検討する。さらに、スタンディングデスクの使用に関する質的データの収集として、児童および教員を対象としたアンケートならびにインタビュー調査を実施する予定である。
2018年度における繰り越し研究費が生じた理由として、当初本研究実施に必須であるスタンディングデスクの購入を予定していたが、企業より寄贈いただき、その費用がなくなったためである。繰り越し研究費は、協力者が必要となる研究であるため人件費もしくは研究成果発表に関する費用(論文掲載費、英文校正費)等での使用を考えている。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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