研究実績の概要 |
【背景・目的】近年の研究より、長時間の座位時間が生活習慣病リスクを高める可能性が指摘されている。しかし、我々の身の回りには「座らざるを得ない環境」が極めて多い。特に、学齢期の児童においては、大半の時間を過ごす学校現場において、基本的に「座って授業を受けること」が求められている。そこで本研究課題では、「座位中心型の教室環境」を「より活動的な教室環境」へと変容することを目的に、立位で作業ができる机(スタンディングデスク)を小学校学級に導入する取り組みを実施した。また、デスク導入が児童の座位活動パターンおよび生活習慣病リスクに及ぼす影響を検討している。 【研究デザイン】長野県佐久市の研究協力校において、1年間スタンディングデスクを1学級に導入した。血中脂質項目については、毎年実施されている学校血液検査の結果を用いた。また、加速度計を用いてデスク導入前後の座位活動を評価した。 【研究成果】介入クラスにおいて、デスク導入後、座位時間が有意に減少した。また、減少の程度は18.3分/日であった(Kidokoro et al, Int J Environ Res Public Health, 2019)。さらに、質的手法を用いた解析より、多くの児童がスタンディングデスクに対して好意的な態度を示していたことが明らかになった(Annear and Kidokoro, J Phys Fitness Sports Med, 2021)。一方、血液指標に対するスタンディングデスク導入の効果は認められなかった。
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