一般的に女子スポーツ選手は、月1回の性周期が練習や試合に影響を与えている。さらに、柔道選手の場合、試合前の減量にも性周期の影響があり、重要な問題となりえる。性周期は、精神面だけでなく、身体面および体力面にも影響を与えるが、その影響の与え方の個人差は大きく、一括りに結論付けることはできない。実際、性周期が影響を与える競技として、極端な体重制限のある審美系や階級制競技があげられるが、本研究で対象とする柔道は軽量級から重量級まで、幅広い体重の選手がいる競技であり、より細かな検証が必要であると考えられる。そこで、本研究では、柔道に特化し、階級別に検証した性周期の現状について、検証することとした。 研究においては、約200名以上の女子柔道選手に対して、性周期及び生活習慣、柔道パフォーマンスなどに関する質問紙調査を行い、それらから得られたデータを階級別に分析した。さらには、性周期の状況と関連する生活習慣等の項目等の探索も行うこととした。その結果必ずしも、軽量級だけに発生する問題ではなく、中菱級や重量級などでも問題が発生し、体重以外の因子もある可能性が示唆されたが、その因子の同定には至っていない。 また、長期的な追跡研究として、性周期とケガの関連性を検証するため、性周期を追跡調査を行うとともに、怪我の発生した日を後ろ向きに確認するための研究を実施している。怪我の発生は、起きない方がいい事案ではあるが、どの時期に多く発生しているのかは明らかにされておらず、今後の追跡によって明らかにしていく計画である。
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