研究課題/領域番号 |
18K17904
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 康介 中部学院大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20804727)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 短距離走 / 疾走能力 / 小学生 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、走ることが苦手な児童に優先的に指導すべき技術的課題を明らかにしたうえで、児童の疾走能力および運動有能感を向上させるための学習指導メソッドの確立を目指すことである。この目的に対し、2019年度は岐阜県内の公立小学校において小学3年生から6年生までの221名の児童を対象とした短距離走の測定を実施し、そのうち5, 6年生101名について最大疾走速度に到達する区間のピッチ、ストライド、接地時間、滞空時間、疾走動作の分析をおこなった。 児童を標準化タイムに基づいて3群(速い・平均・遅い)に分けて各パラメータの差を分析した結果、ピッチ、ストライドとも、遅い群は有意に低かった。また、接地時間について、遅い群では有意に長かった。滞空時間については群間で有意な差は認められなかったが、接地滞空時間比は遅い群が有意に低かった。さらに、得られた映像から児童の接地タイプを判別し、2群(前足部もしくは足裏接地、かかと接地)に分類した。接地滞空時間比について、タイム群と接地タイプを因子とする2要因分散分析を行った結果、いずれのタイム群においても、かかと接地群は接地滞空時間比が低く、また遅い群のかかと接地が最も接地滞空時間比が低かったことが明らかとなった。 この結果より、疾走能力の低い児童が効率よく速く走るようになる上では、ピッチとストライドの双方とも向上させ、かつ接地時間を短くすることで、接地滞空時間比を増大させることが戦略的課題になると考えられた。また、その上ではかかと接地ではなく、前足部や足裏全体での接地へと動作を改善することが有効であると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
児童の疾走能力や疾走動作のデータ収集については、おおむね計画した通りに進んでいる。また、8月から9月にかけて走ることが苦手な小学3, 4年生児童20名を対象とした短距離走指導を全7回実施できたため、概ね予定通り進んでいると言える。短距離走指導の補助具の開発については、当初予定のものと若干仕様を変更して試作品ができあがったが、その補助具を用いた実践研究は未だ着手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に実施した、走ることが苦手な児童に対する短距離走の学習指導プログラムを基に、さらに内容を精査して実践を進めていく。加えて、短距離走指導の補助具の試作品を用いた運動指導も進めていくが、新型コロナウイルスの影響から、小学校での体力測定や短距離走指導が実施できない可能性もある。その場合には2019年度までに収集したデータから走ることが苦手な児童の動作的特性について分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定されていた学会が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開催中止となった(その後webでのポスター公開となった)ため、旅費として確保していた額がそのまま次年度繰り越しとなった。 繰り越した額は2020年度の学会参加費等に充てる予定である。
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