研究課題/領域番号 |
18K17907
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡野 真裕 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (90809956)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 対人間協調 / 疲労 / エネルギー消費 / 同期現象 / 非線形時系列解析 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、歩行やランニングの歩調の計測システムの開発、および同システムのテストと予備実験を兼ね、踏み台昇降運動を2人組で行った際のステップリズムと主観的・生理的運動強度の変化に関する検討を行った。 (歩調計測システムの開発)2人組での歩行やランニングで歩調の時間的ばらつきを評価する上で、既存のモーションキャプチャーシステムや足圧センサーは時間解像度やコスト、運搬性の点で難があることがわかった。そこで、市販の感圧導電樹脂シートやタブレットPCを用いたポータブル歩調計測システムを製作した。同システムで計測した歩調は床反力計で同時に測定した歩調とよく相関し、十分な精度が得られた。 (踏み台昇降運動)指定したテンポでの指タッピングを2人で互いに同期しながら行うと、タッピングが加速しやすいことが報告されている。また、自身の至適運動テンポに近いテンポの音楽やメトロノーム音を聞きながらランニングや自転車エルゴメーター運動を行うと、何も聞かない場合と比較して主観的・生理的運動強度が減少するという報告がある。そこで、慣性の影響が強いと考えられる全身運動でも2人組での加速が観察されるか、メトロノーム音の効果は外的に指定されたテンポでも観察されるか、また互いの足音や上下動の知覚もメトロノーム音と同様な効果を持つかを、単独および2人組での踏み台昇降運動課題を用いて検討した。その結果、参加者のステップのテンポは単独条件では平均して遅くなった一方、2人組条件では加速または維持された。一方、主観的・生理的運動強度に関しては、パートナーの存在もメトロノーム音も有意な影響は観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歩調計測システムを新規開発する必要性が生じたため、当初の想定と比較すると研究の進展は遅れている。しかしながら、応用性の高いシステムの開発に成功し、踏み台昇降運動を用いた予備実験からも一定の知見を得ることができ、平成31年度以降の研究を加速するための準備は整った。以上を総合的に評価し、やや遅れていると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験から、外的に指定した一定のテンポでの運動と、参加者各自にとっての至適テンポでの運動とで、外部刺激が主観的・生理的運動強度に及ぼす影響が異なることが明らかになった。これを踏まえ、今後は外的に指定した一定テンポでの運動の他、至適テンポが近い参加者組と遠い参加者組との比較なども取り入れ、対人間協調が運動に及ぼす影響と、それが発現する条件や過程に対する検討を深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成31年度中に想定される国際学会への参加費・旅費とオープンアクセス誌への投稿費用を考慮し、平成30年度の予算を一部繰り越した。
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