研究課題/領域番号 |
18K17907
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡野 真裕 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (90809956)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 対人間協調 / 疲労 / エネルギー消費 / 同期現象 / 非線形時系列解析 |
研究実績の概要 |
2019年度は、2018年度に行った歩調計測システムを改良および発表と、その試作機のテストと予備実験を兼ねて実施した2人組踏み台昇降運動実験の論文執筆を主に実施した。 (歩調計測システム)2018年度に開発した歩調計測システムについて、低スペックなタブレットPCなどでも運用できるようプログラムを一部見直すとともに、スタンドアロンで動作するアプリケーションとしてパッケージ化した。また当初使用していた感圧導電シートが入手不可能となったため、代替できる素材を探索し、試作を繰り返すとともに、代表研究者本人でなくても制作できるよう、組み立てやテストなど、各種作業のマニュアルを作成した。 (踏み台昇降運動)2018年度の時点では、単独でメトロノームに合わせず行うと自然と遅くなってしまう強度での踏み台昇降運動が、2人組で行えばペースを維持しやすくなることが明らかになっていたが、この現象の発生機序は不明であった。2019年度に論文を投稿する際に行った追加解析により、この現象は「2人で運動することによる高揚感の上昇」のような社会心理学的な相互作用による現象と言うより、ステップを同期させようとする際の相互タイミング調節の特性(「今自分は早く行動してしまったので、次は遅くする」よりも、「今自分は遅く行動してしまったので、次は早くする」という場合の方が、タイミングのずれの大きさが同じでも強く調節してしまうことが指タッピング課題において知られている)により発生した可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
雇用原資のプロジェクトの業務が多忙になったこと、および歩調計測システムの素材として当初利用していた商品が入手不可能になり代替品を探すのに手間取ったこと、実験を始めようとしていた時期に新型コロナウイルス感染症が流行し始め、2人組で運動するという実験の内容的に実施が躊躇されたことにより、思うように研究を進めることが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
大学の方針と倫理的観点から新型コロナウイルス感染症の危険が収束するまでは実験が困難であるため、実験が可能になるまでは歩調計測システムに信号処理機能を付け加えるなど、解析の手間を軽減できるような改良を行う。また、「他人が前を走る映像を見ながら1人で走る」という実験課題が中核となるような研究計画への変更も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
利用できれば研究実施がスムーズになると思われた新発売の計測機器の割引購入期限に間に合うよう前倒し請求を行ったが、取扱業者からデモ機を借りテスト計測を行った結果、本課題の計測には不向きであることがわかったため、結局前倒し請求分は使用しなかった。また、投稿した論文が2019年度中に受理に至らなかったため、掲載費の支出がなかった。引き続き論文の改稿などを行い受理を目指すとともに、計測機器代として使用予定であった分は本課題で開発したセンサー類の製作を外注するなどし、研究の加速を試みる。
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