研究課題/領域番号 |
18K17907
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡野 真裕 立命館大学, 立命館大学総合科学技術研究機構, 研究員 (90809956)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 対人間協調 / 疲労 / エネルギー消費 / 同期現象 / 非線形時系列解析 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、「複数人で近い距離でランニングなどの運動を行う」という実験課題計画の性質上、実証研究の方は進めることが出来なかった。そこで、2019年度までに開発していた歩調計測システムの改良を中心に、感染症の流行が収まってから研究をスムーズに再開できるようにするための準備作業に終始した。 歩調計測システムは、ソフト面の改良を行った。2019年度までの段階では、靴の中敷きに仕込んだ簡易圧力センサーの出力を記録するだけの装置であったが、2020年度には1回の記録が終了した後に信号処理を行うアルゴリズムを追加した。これにより、同期信号の入力を検出し、複数台で計測した場合の時計合わせを簡便に行えるようになった。また、圧力の生時系列を記録するだけでなく、そこから足の接地を検出し、ストライドインターバルを計測後すぐ出力できるようになった。 この他にも、出力されたストライドインターバルのゆらぎのダイナミクスを定量する解析(detrended fluctuation analysis)を行うブロックも追加してみたが、計測用に準備していた小型パソコンのスペックでは処理に時間がかかったため、計測用としては割愛することとした。ストライドインターバルのゆらぎには、加齢、疾病、熟達などによる中枢神経系の歩行制御の変化が反映されていると考えられている。これを計測するにはフォースプレート内蔵式トレッドミルなどの大がかりな設備を用いるのが一般的であるが、本課題のシステムに十分な互換性が認められれば、簡便な計測が可能になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行が予想より長続きし、実験実施が不可能であったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の収束の見通しがつくまでは2人組での対面の実験は困難な可能性があるため、「映像を見ながら運動する場合と単独で運動する場合の比較」のような、対面で2人組にならなくても実行可能な実験計画を中心とするよう、研究計画を練り直す。「映像を見ながら運動する」という状況は、「ステイホーム」が叫ばれる中で、競技の指導や健康作りのための運動を継続・促進するための方策として広く採用されるようになってきている。しかし、このような環境の違い(たとえば単独で行うか、録画映像を見ながら行うか、双方向的な生配信の映像を見ながら行うか、実際に対面で一緒に運動を行うか)が、運動を行う人の動作や心理学的・生理学的指標に与える影響については不明である。運動を行う人を取り巻く環境の特性への理解を深めることは、運動の効用を高める上で重要であり、運動を行う人本人のみならず、運動処方などを提供する立場の人や組織にとっても有用であると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加などに伴う旅費が不要となったことや、投稿していた論文が年度内に受理に至らず掲載費用が生じなかったこと、また実験が実施できなかったため謝金の支払いがなく、未使用額が生じた。未使用額は実験参加者への謝金の他、論文の英文校正費用およびオープンアクセス費用として用いる。
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